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2018-06-18
道具のお話

靴作りには様々な道具が必要です。
殆どが専用の工具となってしまい、大工道具など他の工具で代用できるものはごく僅かです。

私は十数年前に靴の専門学校を卒業しましたが、当時と比べて数多くの道具が消えていきました。
昔は浅草の問屋さんに行けば、気軽に買えた道具が手に入らなくなってしまったのです。
例えば底付けで必ず必要になるワニというペンチみたいな道具があるのですが、昔ながらの国産のワニは絶滅してしまいました。
今は台湾製や中国製や欧州のものが流通しているのみです。
原因は今まで日本の靴作りを支えていた道具の鍛冶屋さんが後継者もなく引退していかざるをえなかったためのようです。
技術とはただ腕だけの問題でもなく、その作業を行う上での道具や素材など様々なものが交わりあってのものだと思います。
技術が失われていく時、支えていた道具や素材がまず失われて、そしてその作業が出来なくり、製作技法自体も失われていくのかもしれません。
今の時代になって不要になったから消えていったと考えてしまえば、その通りなのかもしれませんが、何世代にも渡って受け継がれてきたものが自分たちの世代で去っていく様は物悲しく感じます。

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